近年は空気清浄機にもAIが搭載されている。
AI。そう、人工知能だ。
朴訥とした「機械感」がある空気清浄機に人工知能が載っている、しかもいまだ発達の途上にある人工知能だ。
いまいち想像できないが、さながら天空の城ラピュタのロボット兵のようなものだろうか。
ロボット兵のボディは、セラミックの一種でできていて、砲弾を食らってもそう簡単には壊れないという設定があります。https://t.co/5r6JO5UukM#天空の城ラピュタ #ラピュタpic.twitter.com/fXFGgVcUwf
— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) August 30, 2019
いや、もっと近代っぽいかもしれない。
いずれにしても、こんにちのAI搭載の空気清浄機は、今のところ、これといった「AI感」がないのが実情だ。せいぜい、空気中のほこりを関知して清浄機能の「弱」「中」「強」を調整したり、加湿器機能が付いているのであれば、やはり湿度を関知して、加湿の強弱を調整するくらいである。
ま、これ以上空気清浄機に何を求めるのかね、とは思うが、文明の発達は続く。今後どのようなことができるようになるのか、楽しみだ。
ちょっと変わった空気清浄機
さて、今回お届けするのは、ちょっと変わった空気清浄機である。AIが載っているのだが、こんにちのAI搭載のそれでも、一昔前のIoTを冠した残念なそれでもない。
非常に優れた人工知能なのである。
それは空気清浄機か、はたまた、友達や理解者なのか。
それでは、どうぞ。
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空気清浄機のセイヤ
私の名前は隆。
引っ越しを機に空気清浄機セイヤを購入した。
「セイヤ、友達があと10分後に来るからパワフルモードでお願い。」
「かしこまりました。」
セイヤは最新機種の空気清浄機AI。花粉やホコリなどで汚染された空気をキレイにしてくれる一般的な機能だけでなく、ピリついた空気やしらけた空気を察知して清浄してくれる謎の機能がついているらしい。
いくら最新のAIとはいえ、場の空気を読むなんてできるのだろうか。おもしろ半分で購入してみて1週間。空気清浄はしてくれているが、場の空気を和ませてくれたことなんて一度もない。
今日は楽しみな予定が
今日は高校の同級生の拓哉と博が引っ越し祝いで家に来てくれる。
3人で会うのは3年ぶり。拓哉は結婚して2児の父親。博は半年前に結婚したばかりで新婚ホヤホヤ。
私はといえばごく一般的なサラリーマン。趣味は一人旅と一人カラオケ。一人でできる趣味を割と楽しんでいる。今年で30歳になり周りの友達はほとんど結婚していて、友達とゆっくり遊ぶ機会も少なくなっていた。
そんななか今も仲良くしてくれる友達は貴重だ。今日は会うのを楽しみにしていた。
3年ぶりの再開
楽しい時間のはずが…
インターホンが鳴ってドアを開けると、「おじゃましまーす」と笑顔の2人。
「いいマンションに住んでるじゃん！けっこう稼いでるんだね！」と明るく言う拓哉。「いや、ぼちぼちだよ」家賃は高めだが贅沢な生活はしていない。1LDKのそこそこ綺麗な賃貸マンションだ。
3年ぶりの再会ということで、懐かしの思い出話や近況報告など話に花が咲いていた。2児の父親で毎日大忙しの拓哉と、新婚で新しい生活を楽しんでいる引き続き。2人ともすごく充実しているように見えたが、奥様や義理実家に対する愚痴などもあるようだった。
「舅がやっかいでさ、別居してるんだけど毎週末にうちに遊びにくるから息がつまるんだよね…育児に口出ししてくるし、けっこうストレス。」
と拓哉。
「わかるわ～、うちの姑も謎にしょっちゅう遊びにくるよ、別にいいんだけど気を遣うよ…」と博。
独身の私にはわからないストレスがあることを知った。
「隆は最近調子はどう？」
拓哉が私に話を振ってくれた。
「私は仕事もプライベートもぼちぼちだよ。やっぱ、結婚したらしたで大変そうだね…嫁姑問題とかほんとにあるんだね。私は独身のほうがいいのかもなしれないなあ…」思わず本音がポロっと出た。
それを聞いて拓哉と隆が少しムッとした気がした。余計なことを口にしてしまった。私の一言で空気が淀んだ。
私は戸惑った。
「いや、別に悪く言うつもりじゃないんだけど」なんて言えば、それは悪く言っていることを強化してしまうような言いぶりだ。かと言って何か別のチョイスがあるだろうか？
それとも、このまま、何事もなかったように、スーッと時間が経過するのを待ったほうがいいだろうか？
短い時間で、頭の中でグルグルといろんなことを考えた。
その時である。セイヤが話し始めたのだ。
このあと私は、セイヤの頭の良さ（AIの水準の高さ）を知ることになるのだった。
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