レンタルのローム のノート

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宇宙船で出来ること 宇宙規模のレンタル

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今日は朝から母ちゃんの機嫌が悪かった。「早く朝ごはん食べてくれないと片付かないんだけど」なんて起きて速攻キレられて、仕方ねえからまだ腹減ってないけど朝メシ食って、そしたら追い打ちかけるみたいに、海外でボランティア活動してる若者、的な特集がテレビでやってるもんだからさ、母ちゃんの小言炸裂。「世のため人のため無償で働いてる若い人もいるってのに、あんたって子は。いつまでも就職せずにタラタラタラタラ、ほんと嫌になっちゃう」とか言って、でっかいため息つくわけ。そりゃ俺も悪いなーとは思ってるからね、逆ギレしたりはしないけど、まあ居心地は悪いよ。だからバイトも休みで予定ないけど、とりあえずさっさと家を出て、ふらふら歩いて河川敷までやってきたってわけ。

こんな日は河川敷でごろ寝するに限るね。平日だからほとんど人もいなくて静かで快適。天気もいいし。頭の後ろで手を組んでさ、目を閉じてうつらうつらしはじめた、そのときだよ。明らかに太陽の光とは違う妙なまぶしさが瞼を突き抜けて、俺は飛び起きた。で、気付いたら体が浮いてた。すごい変な感じ。なにこれ、マジック? 超能力? Mr.マリック? みたいな、もう大混乱よ。でもどうすることもできないわけ。何これ何これってバタバタしながら見上げたら、そこにはUFO。そう、完全にUFO。丸いやつね。俺ってばUFOに吸い込まれちゃってるよ-! って、なんかもう怖いの通り過ぎて笑っちゃったよね。

 

 
そのままUFOの底に吸い込まれていって、どんどん眩しくなって、もう視界が全部真っ白になって目をギュッて閉じたんだけど、そのあと急に体が床にのった感じになった。恐る恐る目を開けてみたらさ、そこはUFOの中ってわけ。なんか見たことない機械とかたくさんあって、そりゃもうびっくりだよ。

「はじめまして。」

後ろから声がして、振り返った。そしたら、そこには2人立ってた。俺は思わず言ったよね。

「なんだあ、人間じゃん!」

普通に人間なのよ。俺と同い年くらいの男が2人。つまんねー。絶対この流れ、宇宙人がいるはずじゃん。なんなら、いてほしいじゃん。俺の反応に、2人は顔を見合わせて嬉しそうにしてた。

「よかった、ちゃんと地球人に見えるってことだな。」

「変換成功だ。」

2人は「せーの」と言って、同時にペコリと頭を下げた。

「はじめまして。僕たちはノルタンレ星からきました。」

「今は地球人の見た目に変換していますが、本当はもっと違う姿です。」

ノルタンレ星、ってどこにあるかわからんけど、それって、つまり、やっぱり、「宇宙人ってこと!?」

「あなたから見ると、そうなりますね。」

「スゲー! 本物の宇宙人! え、なにしに来たの? もしかして侵略?」

俺が言うと、2人はポポポと笑った。

「いえ、旅行です。」

「宇宙人も旅行するんだ。」

「はい、します。そこで、あなたに提案があります。」

「提案?」

 
「もしよかったら、この宇宙船、今日一日レンタルしませんか?」

 
意外な提案。一瞬はあ?って思ったけど、これってすごくねえ?

「マジ? 貸してくれんの? なんで?」

「最近、僕たちの星の若者の間で流行っている旅行スタイルなんですよ。現地の星人に宇宙船をレンタルして、レンタル料としてその星のマネーを得る。そのマネーを使って観光するんです。」

「なんか宇宙人のくせにみみっちいな。変身とかできるんだから、金くらい作れそうなのに。」

「マネーの生成はノルンタレ星法で禁じられています。」

「いかがですか? 宇宙船一日乗り放題で、5万円。」

「うわ、高い!」

一瞬ビビったけどさ、でも、宇宙船だよ? こんな機会、もう一生ないよ。今月のバイト代なくなっちゃうけど、これは払う価値がある。俺はすぐに覚悟決めたね。

「わかった! レンタルする!」

「よかった、交渉成立ですね。」

「ありがとうございます。」

「でもさ、なんで俺に声かけてくれたの?」

「地球の星人はみんな忙しそうだったんですが、あなたは暇そうでしたので。」

言ってくれるじゃん。まあ事実だけど。

 
 
俺が全財産の5万円を渡すと、2人は「いってきまーす!」と元気よく観光に出かけていった。UFOには俺一人。今、このUFOは俺のもの。こんなに楽しいことがあるかよ。

「さて、どうやって操縦するんだ?」

宇宙人たちが置いていった紙を見ると、「宇宙船をレンタルされた皆様へ」とある。

俺はさっそく説明書に書いてある通り、操縦席のハンドルを握って、宇宙船を動かしてみた。思った以上にスムーズな移動でさ、全然揺れないの。マジ快適。でもこれ、他の人が見たら大騒ぎになるんじゃないの? って一瞬焦ったけど、説明書にちゃんと書いてあった。「宇宙船は他の人には見えませんのでご安心ください」だって。スゲー! しかも、「右の赤いボタンを押すと、真下にあるものを吸い込めます」だって。うおー! 吸い込みてー!

俺は夢中になって宇宙船を動かした。めちゃくちゃスピード出る。だって、5秒で北海道に着いた。すごいすごい、すごすぎる。せっかく北海道に来たからラーメンでも食べようと思ったんだけど、そういえば降り方がわからない。で、説明書を見たら、「レンタル中は宇宙船から降りられません」って書いてあるの。それはもうがっくりきたよね。上からちょっと景色みて帰ってきた。5秒で。

 

 
 
後編はこちら↓
宇宙船で出来ること 宇宙規模のサステナブル
https://www.rentalism.jp/note/780/

 
レンタルのロームはこちら
https://www.roumu-p.com/

 

執筆者:ナガセローム(長瀬) Twitter note

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