レンタルのローム のノート

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サブスクとレンタル

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いやはや、レンタルの時代に続いて、いまや「サブスクリプション」、通称「サブスク」ってやつが世間を賑わせている。昔は物を手に入れるには一度きりの大金が必要だったが、いまじゃ定額を払うだけで、音楽も映画も本も、まるで「湧き水」のように手に入る。わしが若い頃には考えられん便利さだが、これがまた「所有」と「非所有」の境目を曖昧にしておるんだな。

そんなサブスクが、どう「所有」に影響を及ぼし、非所有の中に新しい意味を加えているのか、今日はじっくり考えてみようじゃないか。

1. 「利用権所有」という中間形態
サブスクというやつは、物そのものじゃなく「使える状態」を所有する仕組みだ。音楽ストリーミングだの動画配信だの、今や手元にCDやDVDがなくても、ボタン一つでいつでも楽しめる。これってな、レンタルのように一時的じゃなく、料金を払い続ける限り「ずっと使える」状態が手に入る。まるで「利用権を所有している」ような感覚だな。

そう考えると、サブスクは「非所有」の形を取りながら、行動の自由度はむしろ所有に近い。それでいて、物理的な「場所を取る煩わしさ」や「維持の手間」がないから、ある意味で所有の良いとこ取りだ。こうして「所有」と「非所有」の間に、新しい価値のグラデーションが生まれているんだな。

2. コストの変化が所有欲を変える
サブスクの最大の特徴は、初期費用の低さだろう。映画や音楽を楽しむにも、昔なら一本一本買い集める必要があったが、今は定額で無限にアクセスできる。昔の若いもんは、CDやレコードをずらりと並べることで「俺の趣味はこれだ」と胸を張ったもんだが、サブスクじゃそうはいかん。「たくさん持つ」ことで満足していた欲求が、今は「いつでも聴ける」「見たいものがすぐ見られる」という安心感にすり替わっておるんだな。

ただ面白いのは、サブスクが満たすのはあくまで「アクセス」だということだ。そうなると、逆に「手元に確実に置いておきたいもの」が際立ってくる。サブスクで聴き続けた一曲が人生の特別な一曲になったら、今度は「やっぱりこれは手元に」と、CDやレコードを買うようなこともあるだろうな。

3. 選び抜く価値――キュレーションの力
サブスクの世界は便利な反面、選択肢が多すぎて、何を選べばいいのか迷うこともある。昔なら、少ない持ち物の中で「自分らしさ」が自然と滲み出ていたが、今はそうはいかん。膨大な作品や情報の中から、「何を選ぶか」で自分のセンスや価値観が試される時代になった。

サブスクを通じて「選び抜いたもの」が、今のわしらにとっての「所有」に近い意味を持つのかもしれん。たとえば、お気に入りの映画を一度観て満足するか、何度も繰り返し観るか。後者なら、サブスクでは飽き足らず、DVDやBlu-rayを手元に置きたくなるだろう。これは「選ぶ」という行為が、サブスク時代の「所有」に通じる新しい価値だ。

4. 「いつでも使える」からこそ生まれる回帰欲
面白いもんで、サブスクの便利さが当たり前になるほど、逆に「手元に置いておきたい」という気持ちも強くなることがある。いつでもアクセスできると思っていた曲が、ある日突然サービスから消えた――そんな経験をした人もいるだろう。

そういう不安定さを感じると、「これだけは確実に持っておきたい」と、物理的な所有に回帰する動きが出てくる。わしも昔の愛読書なんかは、電子書籍で読めてもやっぱり紙の本が欲しくなるんだよな。重みや手触り、ページをめくる音――そういう「体験」込みでこそ、所有する意味がある。

5. 文化的・哲学的な問い――「本当に大切なものは何か」
サブスクが日常化して、所有が絶対的な価値じゃなくなったことで、わしらはこんな問いに直面しているのかもしれん――「いったい自分にとって何が本当に必要なのか」。
便利さに囲まれているからこそ、その中で「これだけは譲れない」という物や体験が際立つ。サブスクが生み出す流動的な環境の中で、「自分の核となるもの」を見つけること。それが、サブスク時代における所有の新しい意味じゃなかろうか。

まとめ:サブスクが照らし出す新しい所有観
サブスクという仕組みは、「所有」と「非所有」の中間を成し、現代人の暮らしに柔軟さと便利さをもたらしている。それでいて、便利さの中に潜む「本当に大切なもの」を見つけるきっかけにもなっている。

サブスクが定着すればするほど、わしらは「なぜこれを手元に置きたいのか?」と問われるようになる。その答えは、ただ物を手に入れることじゃなく、自分の人生に深く関わる体験や価値観に結びつく。サブスクの便利さの中で、「持つことの意味」が、より個人的で哲学的なものに昇華されていく――そういう時代を、わしらは今、生きているんだなぁ。

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