幼い子供というのは、本能的に「ダメ」と言われるとやりたくなるものだ。特に、扇風機の隙間に指を入れたくなる衝動は、彼らにとって避けがたい魅力を持つ。親が「指を入れちゃダメ」と注意するのも当然なのだが、それでもなお試みようとするのが子供の性（さが）である。
そこで考えたいのが、「子供に指を入れさせない」ではなく、「扇風機が指を入れさせない」設計だ。単なるガードやカバーではなく、扇風機側がまるで意志を持っているかのように、子供の指を阻止する仕組みがあればどうだろうか。
例えば、扇風機が指を察知すると、「うわっ、やめろ！」と言わんばかりに羽が急に止まる。または、指が近づくと生物のように扇風機がブルブル震えながら、嫌そうに後ずさる。さらに進化すると、「真実の口」よろしく、指を入れようとした瞬間に「お前、本当に入れるのか？」と扇風機が問いかけ、指を入れたら口を閉じる（もちろんソフトに）。
もしくは、ジョジョのスタンド「スタープラチナ ザ・ワールド」のように、指が触れる瞬間だけ時を止め、子供の指がいつの間にか扇風機から遠ざかっている、という演出も面白い。「えっ！？ なんで！？ 指が入らない！」と子供は不思議がるが、結局入らないので事故は起きない。
ここで重要なのは、この扇風機が「自動」ではなく「能動的」である点だ。一般的に、自動機能というのはあくまで人間の指示に従って作動するものだが、この扇風機はあたかも意志を持っているかのように動作する。子供の行動を先読みし、時には会話を交えながら「指を入れるな」と訴えかける。この能動性こそが、ただの機械を「存在感のあるキャラクター」に変え、より効果的に安全を確保する要素となるのではないだろうか。
こうした「能動的に指を拒絶する扇風機」は、安全とエンターテイメントを両立する優れた発明になるかもしれない。ただ単に「ダメ」と禁止するのではなく、子供の遊び心を刺激しながら、安全を守る。未来の扇風機は、ただ涼しさを提供するだけでなく、知恵とユーモアを持った存在になるべきではないだろうか。
